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 1010

 あのひとがブログで「読むべし!」と言ってる本を、文京区のOPACで探すと新刊だからか予約一杯で、大学と練馬区のOPACで探しても無くて、ジュンク堂のOPACで検索すると手頃な値段で、最近思わぬ臨時収入があったことが頭をよぎり、家を出る時間を15分早めようと思うが、準備に手間取ってそれはできなかった。ここから、僕があのひとに抱く尊敬だか信頼だか憧憬だかを見てとることができる。
 夜の帰りの寄り道、その本を手にとってぱらぱらとめくってみると、どうも相性が悪くて棚に戻し、「こういうこともある。」と思い、代わりに隣の本を買いたくなるが、でもそれは代わりなので、やめた。身体について知る機会が少し遠ざかったと、少し残念に思った。
 4階の心理学の棚を見に行き、めぼしい新刊は見つけられなかったが、横並びの赤い本と青い本を見つけ、赤い方をレジに持って行った。その本を買うのは間違いではないが、別に欲しくもないと思った。おもむろに、「本を読み終わった時に、何をするべきかを思いつけるのは一番素敵だ。」という言葉が思い浮かぶが、語呂がいまいちすぎた。

 大学に行ったが、たいして何もせずに帰った。先輩に、同期について思うことを色々話したが、ある人の話をしたときは先輩の口数が少なくなったので、その人と先輩が話したことが、先輩を慎重にさせているのではないかという邪推をした。普段見ているものが、違う視点からだと随分と違って見えて、特に僕と同じことをしている人が沢山いるようでげんなりした。雑談の中にもどことなく、光化学スモック警報のような息苦しさがあった。
 待ち時間の間に、岡崎京子のpinkを芝居にするためのやり方をぼやんと考えていた。登場人物は、主人公の男女、義母、義妹、鰐、それにもうひとり男が欲しいと思った。モノとココロ。お金と性と暴力。僕はこの物語をほんとうの意味で理解することは絶対に永久にできない。
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