戯言ヲトメツバキ（完）

・どうしようもなく不穏な時は、誰かほかの人と繋がろうとする欲求がとても強くなる。溺れる人がしがみつくみたいに。でもそれはとってもブザン（無様）なもので、あと（直後）から自己嫌悪を引き起こす悪循環のシステムなので、非常（ヒジョウ）に、よろしくない。自分の平穏のために、他人を使うのはよくないし、大切な友人を使うのは、絶対にやりたくない。
・これは一種の発作みたいなものであって、一度始まってしまうとぐるぐると自分の中身をかき混ぜにしててめぇの内臓をブドウのジェラートみたくジョロジョロにしてしまうのだが、なにかの拍子にそれが収まると、波が引くように無音がすぅっ・ ・ ・ ・ と鎮静を運んできて差し出してくれる。
・その鎮静はそんなに長く続かない。ほどなく次の発作がやってくることは間違いない。しかしそれを予期して不安に思うことが、実際次の発作までの時間をおおいに短縮しているのも間違いない。僕は１人で、戦いの前に再会を誓う戦士達のように、またこの状態に戻ってくることを祈り、息を吸い、吐いて、それを現実にするための作戦会議を始める。